3年半延期された「CLANNAD」が発売されるまでの美少女ゲーム

3年半延期された「CLANNAD」が発売されるまでの美少女ゲーム

・ 乙女ゲームの発展、一方で問題視されるゾーニング

 美少女ゲームが飽和する中で、老舗美少女ソフトメーカーのアリスソフトが定価8800円があたりまえだった時代に、新規ジャンルの開拓の場として「妻みぐい」や「DALK外伝」など2800円の低価格ソフトを売り出すようになった。その一方、アリスソフト傘下のブランド、アリスブルーから2002年11月29日に「俺の下であがけ」を発売し、乙女ゲームの開拓を広げていく。
 同時期に、ビジュアルアーツ傘下のSprayがボーイズラブ(BL)アドベンチャーゲームの「学園ヘヴン BOY'S LOVE SCRAMBLE!」を発売した。この「学園ヘヴン」は後にアニメ化し、2006年4月1日からAT-Xで放映された。
 美少女ゲームだけでなく、乙女ゲームにも18禁要素を組み入れたことで、乙女ゲームは新たな道が広がったのであった。

 パソコンのOSがWindows XPになり、ゲームの記録媒体がDVD-ROMへと移り、音声のフルボイス化が当たり前となり、デモムービーに力を入れる美少女メーカーも出てきた。
 インターネットも一般家庭に普及するようになり、美少女ゲームの情報がネットからでも簡単に知るようになった。しかし、その一方、美少女ゲームの情報が少年たちにも手が届くようにもなり、一定のゾーニング(年齢により購入や閲覧などできるものを制限して年令別に分ける事)が求められるようになった。

 ・ コンシュマーを意識する美少女ソフトメーカー

 2002年代の美少女ゲームは様々な名作が出てきた。2002年04月26日Leafの「うたわれるもの」、2002年07月05日Littlewitchの「白詰草話」、2002年11月01日戯画の「BALDR FORCE」(後に追加要素を加えた「BALDR FORCE EXE」も登場)が発売された。これらはゲーム性のあるゲームであり、性的描写を省くことでコンシュマー化(家庭用ゲーム機への移植)したことでも有名なソフトである。
 ゲーム性のあるゲームでも、コンシュマー化を意識することで、あらかじめ性的要素を取り払う。その影響で美少女ゲームはより大衆化する流れとなっていく。
 その一方、始めからコンシュマー化しないストーリー中に性的表現やグロテスクな表現を取り入れた美少女ソフトメーカーも存在する。2003年12月19日発売「大番長 Big Bang Age」のアリスソフト、同日発売「幻燐の姫将軍2 〜導かれし魂の系譜〜」のエウシュリー、2003年12月26日発売「新・御神楽少女探偵団」のelfなどはそうだといえる。性表現やグロテスクな表現を取り入れた分だけ刺激となり、ゲーム性、シナリオや世界観の幅が広がっていった。

 ・ 更に広がるアドベンチャーゲーム

 美少女ソフトメーカーが大型企画であるゲーム性のあるゲームを発売する一方で、従来のアドベンチャーゲームにも変化が出てきた。

 2002年6月28日にはCIRCUSから「D.C.〜ダ・カーポ〜」が発売された。「D.C.〜ダ・カーポ〜」は名作ではあるが、数多く出ているシリーズものとしても有名である。今日までそれぞれ違うエピソードを追加した本編ディスクが9本出ており、それに加えて、ファンディスクもあるため、数えきれないほど出ている。
 何処ぞのAKB48商法だと思えるが、それでも食いつくファンが居るために、人気のある作品はどんなものでも網羅するファンがいることがここから伺える。

 2003年2月28日、アージュの「マブラヴ」が発売された。超王道学園アドベンチャーゲームと謳われたそれは、中身を開けてみると、もう一本のシナリオは現代のパラレルワールドを舞台にしたSFアドベンチャゲームでもあった。
 後に、2006年2月24日に、続編の「マブラヴ オルタネイティヴ」が発売された。SF超大作のそれは多くのプレイヤーを燃えあがらせ、18禁ならではのグロテスクなシーンや精神的な重たいシーンで欝にさせ、最後は涙した。JAM Projectを起用したオープニングテーマの「未来への咆哮」がロボットモノの燃えゲーをイメージさせた。
 また、18禁とはいえ、あまりのグロテスクなCGに批判するプレイヤーがいたことで、緩和パッチが配布されている。これは美少女ゲームが大衆化したことの表れでもあり、メーカーもグロテスクシーンなどに配慮するようにもなり、凌辱シーンを飛ばす選択肢を加えるメーカーも表れた。
 なお、このソフトはメディア倫理機構が審査した初めてのソフトでもある。

 同じような燃えゲーといえば、2003年4月25日発売のニトロプラスの「斬魔大聖デモンベイン」がある。クトゥルー神話を題材にしたSFアドベンチャーゲーム(荒唐無稽スーパーロボットADV)であり、ニトロプラスならではの3Dを駆使した背景とロボットと、登場人物たちのCGをうまく取り合わせた作品でもある。後に、「機神咆吼デモンベイン」としてプレイステーション2で発売し、2006年5月18日アニメ化もされた。

 一方、恋愛アドベンチャーゲームとしては、オーガストの「月は東に日は西に〜Operation Sanctuary〜」や、セカイ系泣きゲーとしてはフライングシャインの「CROSS†CHANNEL」が2003年9月26日に発売された。どちらも名作であり、2003年を代表するアドベンチャーゲームである。

 ・ 伝奇と童話「Fate/stay night」「Forest」

 CLANNADが発売される2004年、CLANNADが話題になる前に、ある一本のソフトが話題となる。2004年1月30日TYPE-MOONから発売した「Fate/stay night」である。TYPE-MOONは既に同人ゲームの「月姫」で名を知られており、美少女ゲームに参入した際に出したソフトが伝奇活劇ビジュアルノベルの「Fate/stay night」であった。
 ゲームエンジンがフリーソフトウェアの吉里吉里2であり、ゲーム性はあまりないといえる。だが、シナリオにこだわったことで、アリスソフトの「アトラク=ナクア」以来、読ませるゲームが現れたといえる。
 ボリュームのあるシナリオもさることながら、奈須きのこの書く独特の世界観とキャラクターに、プレイヤーはその世界観に魅力される。「Fate/stay night」は続編の「Fate/hollow ataraxia」を出し、2006年1月にアニメ化もされた。

 一風、変わった美少女ゲームといえば、2004年02月13日発売したLiar Softの「Forest」がある。Liar Softは美少女ソフトメーカーの中でも独自の路線を突き進む一風変わったソフトメーカーであり、このアドベンチャーの「Forest」もその一つである。
「不思議の国のアリス」「ピーターパン」などイギリスの古典童話と現代の新宿を融合したカオスな世界観に、プレイヤーの意識が吸い込まれていく。
 普通のアドベンチャーよりも難易度が高いこともカオスな「Forest」の世界観を映し出しているといえる。このカオスさが、一般ゲームでは表現できず、また開発費の安いPCゲームだからこそ、できる世界観と言えよう。
 なお、このゲームを手がけた星空めておさんはTYPE-MOONに移籍した。

 そして、2004年4月28日、KeyからWindows用ソフト一般ゲームとして「CLANNAD」が発売された。性要素を排除した一般Windows用ソフトでありながらも、10万本も売れたことで美少女ゲームは性的描写がなくても売れることを証明し、それは同時に、美少女ゲームが一般的にも浸透してきたことを表す証でもあった。
posted by 宋江 at 01:24 | game | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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