「リトルバスターズ!」までの美少女ゲーム業界

「リトルバスターズ!」までの美少女ゲーム業界

 ・ 2006年

 2006年から美少女ゲームの加盟メーカーの有志が運営する「美少女ゲームアワード」という大賞が発表された。コンピュータソフトウェア倫理機構の審査が通った美少女ゲームなら投票可能となっている。美少女ゲームが日陰者の文化でなく、日に当たる文化へと推移していったことの表れでもある。
 その栄えある第1回目大賞を受賞したのが2006月3年31日発売した戯画の「この青空に約束をー」である。「ショコラ 〜maid cafe "curio"〜」、「パルフェ 〜ショコラ second brew〜」で知られる名コンビ、原画のねこにゃんと、シナリオの丸戸史明 with 企画屋が生み出した感動恋愛アドベンチャーであり、後にアニメ化した。
 また、第2回目大賞を受賞したのもこの年で、2006年11月24日、PULLTOPから「遥かに仰ぎ、麗しの」という名作が生まれた年である。

 3Dグラフィックにこだわりを持っている美少女ソフトメーカーは「人工少女」シリーズで有名なイリュージョンと、二次元絵に近い「らぶデス」シリーズのTEATIMEである。そのイリュージョンが出した「レイプレイ」が発売されたのもこの年である。レイプを目的にした性暴力的なゲームであるが、慣れてしまうと単調になってしまうのが問題であった。
 3Dグラフィックゲームが売れる理由としては、メーカーの用意した美少女キャラクターとエッチするよりも、ユーザーがキャラクターをいじくって、自分の好きな美少女キャラクターを作る方に人気があった。3Dグラフィックゲームであれば、自分で好きなようにキャラクターをカスタマイズでき、好きなポーズを取らせることができる。ネットを通じて自分が作ったキャラクターを見せ合うアングラな文化もあるのだ。

 美少女ゲームで使われる宣伝のデモムービーにも歴史があるが、デモムービーが印象的な美少女ゲームと言えば、minoriの「ef - a fairy tale of the two.」である。2006年12月22日「the first tale.」、2008年5月30日「the latter tale.」が発売された。美少女ゲームでは珍しい第三者的視点の物語であり、それぞれのキャラクターから見た視点・感触を描かれている。
 このゲームで話題になったのは、デモムービーにあるだろう。「the first tale.」「the latter tale.」のオープニングアニメーションを手がけたのは「秒速5センチメートル」で有名な新海誠さん、質の高いクオリティのあるそのムービーが美少女ゲームに関心のない方でも魅了される。
 また、「the latter tale.」のエンディングアニメーションを手がけたのは「さよなら絶望先生」でおなじみのシャフトが作っている。アニメ版「ef - a tale of memories.」「ef - a tale of melodies.」を手がけたこともあるが、美少女ゲームに一般アニメ製作会社が手がけるのは珍しかった。

 そして、2006年12月15日、アリスソフトからシュミレーションゲームの戦国ランスが発売された。年末までたった2週間にもかかわらず、この年の一位の売り上げたモンスターソフトでもある。ランスシリーズというキラーソフトとアリスソフトそのもののブランドがあるが、何よりもそのゲームクオリティの高さに、中毒者が続出だった。

 ・ 2007年

 2007年1月26日BaseSonから「恋姫†無双 〜ドキッ☆乙女だらけの三国志演義〜」が発売された。三国史を題材するゲームソフトを出す中、美少女ゲームにも歴史モノを取り入れる流れとなった。(もっといえば、戦国ランスもそうなのだが、ランスという世界観とキャラクターが強いために、歴史モノとは言えない)
 美少女キャラクターが山の数ほどいたことが話題となり、多くの声優(1人1役)を起用したことでこの年の人気作となった。シナリオとしては歴史を題材にしながらも、大半はキャラクターゲームであったが、他の美少女ゲームとは一線を引く圧倒的なボリュームと、ゲーム雑誌の広告戦略のうまかったのが人気作となった由縁であろう。美少女ゲームも、ゲームクオリティやシナリオだけでなく、広告戦略も大事な要素ということを再確認することとなった。

 勿論、シナリオは感動系ばかりでなく、パロディ要素も忘れてはならない。2007年4月20日May-Be Softから「遊撃警艦パトベセル 〜こちら首都圏上空青空署〜」が発売し、こちらはロボットアニメのパロディがふんだんに使われたバカゲーであった。
 「つよきす」のシナリオを手がけたタカヒロさんがきゃんでぃそふとから独立し、美少女ソフトメーカーみなとそふとを設立し、2007年5月25日に恋愛アドベンチャーゲーム「君が主で執事が俺で」を発売した。タカヒロさん独特のパロディネタも満載の作品で、豪華声優も起用したことでも話題となった。「君が主で執事が俺で」を発売する前に、アニメ化も決まっており、新規美少女ソフトメーカーとしては珍しかった。2008年1月に関東ローカルでアニメ化となり、タカヒロさんが脚本を務めた。

 ・ リトルバスターズ!
 
 2007月7年27日keyから一般Windows用専用ソフトとして「リトルバスターズ!」が発売した。
 
 両親と死別し、心を閉じていた主人公、直枝理樹は棗恭介、恭介の妹の鈴、幼馴染の井ノ原真人、宮沢謙吾と出会い、正義の味方、リトルバスターズに誘われる。理樹は恭介のめちゃくちゃな行動に戸惑っていたが、お祭り騒ぎの毎日に、いつまでもこんな時間が続けばいいと、いつまでもそんなことを思っていた。
 数年後、彼ら5人は全寮制の学校に通っていた。恭介が就職活動からに帰ってきた数日後、食堂で理樹は「昔みたいに何かしよう」と持ちかけ、恭介は「野球チームを作ろう」と言った。理樹達は野球のメンバーを集める中で、様々な少女と出会い、野球チーム「リトルバスターズ」として活動することとなった。

 今までのKeyゲームとしては珍しくミニゲーム満載の恋愛アドベンチャーゲーム。(ただし本シナリオとは関係ないが、イベントやCGが回収できない)人々の心のつながり、家族との交流を描いていたkeyであったが、今作は友情をテーマにしている。Keyの主人公にしてはめずらしく常識人である。
 原画は樋上いたるとNa-Ga、シナリオが麻枝准、都乃河勇人、城桐央、樫田レオと、時代交代を匂わせるスタッフになっている。美少女ゲームには適齢期があり、結婚をして家庭を持つことで、クリエイターがエッチなものを作ることに抵抗力を持ってしまう。また、クリエイターの書くシナリオやCGは時代と共に古くなり、新鮮さがなくなるのも問題なのだ。

 「リトルバスターズ!」は後に、新ヒロインや攻略可能ヒロインと18禁要素を加えた「リトルバスターズ!エクスタシー」が2008年7月25日に発売した。コンシュマー化する前に、なぜ18禁ソフトとして出したのかということで話題を呼んだ。しかし、それは美少女ソフトメーカーが美少女ゲームのプラットホームを忘れていないことを注目する点だといえる。

 現在、webラジオの音泉で「ナツメブラザーズ!」が配信している。Keyに興味のある方は一度、聞いてみるといいだろう。 
posted by 宋江 at 01:27 | game | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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