リトルバスターズ! 以降の美少女ゲーム業界が抱える問題

リトルバスターズ! 以降の美少女ゲーム業界が抱える問題

 ここからは美少女ゲームが抱える問題点について触れていく。「CLANNAD」など一般ゲームを売り出すようになったKeyには関係ない話に思えるが、今もなお美少女ゲームを売り出し、著作権を持つビジュアルアーツそのもののインフラを揺るがす問題である。
 それに加えて、「AIR」「Kanon」の販売中止にもつながり、アニメ・ゲーム文化の開拓地を喪失になる問題へとつながっていくのだ。

 ○ 美少女ゲームの問題

 美少女ゲームが抱える問題は

 ・ 児童ポルノ問題
 ・ 違法ダウンロード問題
 ・ 違法アップロード問題
 ・ 凌辱ゲーム規制問題

 の四つがある。どれも美少女ソフトメーカーにとって、苦しい問題である。

 ・ 児童ポルノ問題の再浮上

 2007年、2008年はニコニコ動画が現れたことや2chまとめブログなどの個人ブログによって、エロゲって言葉が普及した。全然美少女ゲーム興味のない一般人でも美少女ゲームはエロゲという愛称で呼ばれるようになった。
 同時に、痛車など萌えを世間にさらす痛い行為を積極的に自虐し、萌え文化はもう一つ一歩前にへと出ることができた。

 しかし、広く大衆化することによって海外にも美少女ゲームやアニメに興味を持つ者が増え、海外でも発売され、日本製の性的描写のあるアニメ・ゲーム・マンガはhentaiと呼ばれるになった。
 だが、海外で販売している美少女ゲームのタイトルはわずか数十本であり、違法ダウンロードが横行しているのが実情だ。動画サイトや違法ダウンロードによって日本製の美少女アニメやマンガは海外で普及し、更には毎日新聞の変態記事問題などによって、日本人のアングラ文化である美少女ゲームは一般的な文化だと誤解されてしまった。
 だが、その美少女ゲームが広まりすぎたことで、日本ユニセフや政治家からそれは児童ポルノではないかという声が上がりだし、ついには美少女ゲームは青少年の心を壊すとまで発言する議員まで登場した。(※民主党副代表の円より子議員)

 そもそも児童ポルノは撮られた側の児童の人権を守り、その写真を商売にして利益を得ることは、児童に対する援助交際や買春と同じように許されるものではない。しかし、特定の児童が存在しないアニメやゲームの絵は、児童ポルノの定義には当てはまらないはずである。だが、その定義は特定の児童ではなく、児童という概念そのものの人権を守ることに念頭を置いたことで、児童ポルノの販売を禁止すべきという考えへと繋がっ。そのため、マンガやアニメであっても児童を扱った性的描写のある商品を禁止する方向性となってきた。
 しかしながら、児童ポルノ抗議団体に批判があるのも事実である。日本ユニセフの寄付金の一部(上限25%)を自分達の活動資金にしている寄付金問題や、現実的な児童ポルノの取締りを果たしていない点などから、世間は児童ポルノ抗議団体に対する疑いの目が強い。現実と虚構と判断できないのは抗議団体ではないか? という揶揄まで飛び交う始末である。チベット人問題や捕鯨問題があったことから、世間は自分達の利益を得るために、何かを利用する人権団体に対して不満が募りだしたのもこの年からである。
 だが、政治に関してコネクションのないソフト倫理機構、並びに美少女ソフトメーカーはただ黙って、自主的な規制を持つようになり、明らかに児童だと思われるキャラクターが出てくるソフトは少なくなった。

 ・ 違法ダウンロード問題

 美少女ソフトメーカーが一定のゾーニングを意識する一方で低価格ソフト路線の同人ソフトメーカーは、より過激でストレートなタイトルのアダルトゲームを販売する。性的描写のあるCGとシナリオしかないデジタル紙芝居でありながらも一定の成果を生み出すことに成功した。低価格のダウンロード販売ということで、多くの方に低価格ソフトの美少女ゲームに触れる機会が多くなった。
 また、美少女ソフトメーカーもダウンロード販売をする動きへとかわってきた。過去作品を低価格で再度売り出すようになったことと、ファイル共有ソフトによってお金を支払わずに手にする違法ダウンロードが蔓延化していたことが理由である。
 これまでコピーガードやシリアス認証などで、違法複製物を押さえてきたが、それでも認証を突破する者が現れていた。しかたなく、少しでもコストを抑えようとし、コストの低いダウンロード販売で、違法化をやめてもらおうとしていた。
 Winnyのようなファイル共有ソフトによって、日本だけでなく海外にも美少女ゲームが流出するようになった。その上、自分たちで字幕を作り出すファンサブと同じような行為をする者も出てきた。何十万文字もあるボリュームのあるシナリオを、自国の言葉に直すのはすごいことであるが、違法であることを忘れてはいけない。
 2010年1月に違法ダウンロードの施行が決まり、一定の法の整備がついた。しかし、まだ違法化が決まっただけで、罰則などは不明だ。更には警察の捜査権を自由に与えることにもなるので、その辺をちゃんと議論されたのか不明である。

 それに加えて、ニコニコ動画のあるゲームプレイ動画も問題である。それに説明する前にニコニコ動画の美少女ゲームの立ち位置について紹介しよう。

 ・ ニコニコ動画と美少女ゲーム(違法アップロード問題)

 2007年、ニコニコ動画ができたとき、2005年11月25日に発売した Lump of Sugarの「Nursery Rhyme -ナーサリィ☆ライム-」のオープニングムービーがアップロードされた。オープニング曲の「true my heart」の歌詞「素直気持ち抱きしめ」の部分が「きしめん」と聞こえ、その部分を「きしめん」とコメントすることで、「Nursery Rhyme -ナーサリィ☆ライム-」が有名になった。
 また、2006年11月24日に発売した「ふぃぎゅ@メイト」もニコニコ動画で有名となった。フィギュアをコレクションするゲーム性や、ヲタクの妄想と天才魔法少女が織り成すストーリーであったが、MOSAIC.WAVが歌う「ガチャガチャきゅ〜と・ふぃぎゅ@メイト」の入ったオープニングムービーがニコニコ動画にアップロードしたことで、電波ソングとして広がった。

 その後、美少女ゲームをパロディにしたMAD動画(著作権のある動画から素材を集め、自分なりに編集する動画のこと)がアップロードされていった。「CLANNAD」や「リトルバスターズ」のMAD動画もアップロードされ、反響が大きくなった。(ただし、「CLANNAD」の素材はアニメなので、よく削除されていた)ニコニコ動画は宣伝の場として広がり、美少女ゲームの認知は更に広がった。

 しかし、その一方、2008年ごろから流行りだしたプレイ動画によって、美少女ゲームのプレイ動画をアップロードするものが増えだした。
 基本、R-18系でもニコニコ動画は性的表現の伺ある音声や絵は禁止となっている。しかし、局部に黒い前張りを入れることや音声を消去させてまでしてアップロードする者が後を絶えず、(何がウレシイのか)実況プレイする者まで現れた。その上、ニコニコ動画のユーザー達はそんなアップロード者に対して、応援しているのだ。(美少女ゲームのボリュームはかなりあるので、動画のアップロードは100本を超えるものも珍しくない。そのがんばりに感動したのだろう)

 今の美少女ゲームは性的要素を省けば、そのままコンシュマー化できるものが多い。つまり、性的要素を省けば、ゲームの中身、そのままアップロードしているわけだ。これは普通のゲーム会社にも痛い問題であるが、特に美少女ゲームは問題である。それは美少女ゲームにはLeafのビジュアルノベルゲーム以降、ゲーム性がないものが大半だからだ。
 会話の中に性的なシーンや音声があれば運営側が削除するが、恋愛ものの場合、そんなものをこぞって入れるわけにはいかない。そうなると、シナリオのオチや中身をタダで見ることができるのだ。
 しかも、ニコニコ動画の利用者はゲームに対する著作権に認識が薄く、ゲームメーカーが削除したら反発が来るため、評判による被害もままならない。
 今はまだ再生数が少ないが、他の動画サイトで転載されることで、大きなダメージを生む。ニコニコ動画のプレイ動画にも大きな問題があるのだ。

 ・ 2009年、突如として起こったレイプレイ騒動

 Navelの「俺たちに翼はない」や戯画の「BALDR SKY Dive1 ”Lost Memory”」など、2009年も傑作と呼ばれる美少女ゲームが出てくる中、突如としてある問題があらわれた。それは3年前発売された「レイプレイ」が元となる性暴力ゲーム問題である。

 日本の18禁パソコンゲーム「レイプレイ」がAmazon.comで販売された。これはイリュージョンが自主規制で日本国内のみの販売のみ許可していたが、国外の輸入・再販業者が「レイプレイ」をアマゾンのマーケットプレイス(手持ちの中古品を販売するシステム)を利用し、一般でも買えるように販売してた。
 イギリスの与党、労働党のKeith Vaz(キース・ヴァズ)下院議員がこれを問題視し、国会に取り上げるほどの騒ぎとなった。キース・ヴァズ議員はこれまで殺人ゲーム、ロックスターゲームズのマンハントを発売禁止に追い込んだことがあった。
 キース・ヴァズ下院議員はアマゾンのマーケットプレイスで販売していた「レイプレイ」を国会に取り上げて、テレビゲームを「疑似体験させるゲームが誰にでも買えるなど、許しがたいことだ」と話し、問題となった。
 当時、イギリスは殺人事件をきっかけに、殺人者が所持していたポルノが問題となった。ポルノ問題は社会問題となり、その範囲がポルノの創作物の範囲まで広がっていた。理由としてポルノの創作物で犯罪の下地を形成し、現実的な虐待への呼び水となるからであり、これが性暴力ゲームのレイプレイに当てはまった。

 無論、性暴力は認められることではなく、犯罪である。性暴力は女性の尊厳を脅かすだけでなく、後遺症になる心の問題である。
 余談ではあるが、レイプものを書くシナリオライターはわざわざレイプに遭われた被害者とコンタクトを取り、その話について聞くらしい。セカンドレイプではないかと言う声もあるが、レイプものを書く上で被害者の心を傷つけないことや、ライター側の禊ぎという意味もあることだろう。
 性暴力は許されるものではない。しかし、それが仮想の世界にまで入るということは思想の自由を脅かすことにもなる。男性が自分の性的欲求をコントロールしきれるのであれば、レイプ事件など起こるはずはない。男性そのもの性のあり方に関わるジェンダーを問われる問題でもある。
 性的嗜好を持つことで性的欲求も操れるようになったものも、成人コンテンツの発展がなしたからである。ましてや、客層は虚構産物である美少女ゲームでファンタジーを求めている。
 だが、イギリスの議会はレイプがシュミレーションできるということで、実際のレイプをするための訓練的な役割を果たすと主張した。どうやらイギリス人のゲームの考え方は脳を鍛える大人のDSトレーニングのような考え方であり、ゲームは遊びという日本とは違い、ゲーム=シュミレーションと考え、ゲームをすることで犯罪性が養われるそうだ。したがって、性暴力ゲームは性暴力の下地を作るというロジックが完成したのだ。

 海外で発売を許可されていない美少女ゲームが発売されたことを知ったアマゾンのマーケットプレイスは出品を取り下げた。ついでに、日本のアマゾンや販売店でも「レイプレイ」の取り扱いは停止となった。しかし、女性の人権を尊重する国際人権団体、Equality Nowが日本の性暴力ゲームに過剰に反応し、刺激的な声明文を出して、政治家や企業に抗議した。その影響で、ソフト倫理機構は一ヶ月も経たないうちに、凌辱ゲームの規制を決定した。これがレイプレイ騒動である。

 無論、ソフト倫理機構がお墨付きを与えたので従来の法的にはセーフである。しかし、犯罪の下地はゲームから来るという独自の理論を持つEquality Nowの考えは日本の法には当てはまらない。しかし、女性の人権を考えた場合、性暴力ゲームについてはもう一度見直さないといけないところではある。太平洋戦争の慰安婦問題で、国が頭を抱えていた矢先、この問題は頭痛の種であっただろう。
 しかし、この問題の裏には幾つかきなくさいところがある。例えば、キース・ヴァズ議員は今年5月にイギリスの議員から公的資金の私的流用をしていたことが発覚した。つまり、この「レイプレイ」を国会に取り上げたが、それはスキャンダル疑惑を拭おうとした自己保身のためのパフォーマンスだったのだ。
 イギリスの販売業者が一般(つまり、18歳以下でも買える)でも買えるアマゾンのマーケットプレイスを利用したが、これは日本で言い換えれれば、日本の業者が無修正アダルトDVDを日本で発売したのと同じことだ。この場合、日本の業者のみ捕まるのが普通だが、イギリスの場合はそれを製造業者まで問題視した。なお、「レイプレイ」は日本国内の流通のみを認めており、海外での流通は認めていない。要するに、販売業者に文句があっても、製造者にまで怒りの声が届くのはおかしいことだ。
 その上、海外の殺人ゲームは日本では全面的に規制されていない。もし、ゲームで犯罪の下地を作るのであれば、完全なる違法行為である殺人ゲームも規制した方がいいはずである。
 しかも、今回、政治力の弱いソフト倫理機構だけが動いただけで全体的な規制へと動いてはいない。成人マンガ、アニメは勿論、中絶やレイプなど過激なシチュエーションで読者を得ようとする一般のケータイ小説や、不倫を題材にした子供達に悪影響を与える中年女性が好きなドラマと小説や、18にも満たない児童に性的興奮を抱かせるジュニアアイドルのDVDなどが問題視されるはずなのだが、それらはスルーされている。彼の問題なのは陵辱が疑似体験できるゲーム性であり、イラストやシナリオは規制の対象にはなっていない。
 もし、美少女ゲームでキネティックノベルのようなシステムの凌辱ゲームが発売したら、ゲーム性がないのでオーケーという意味になる。ゲーム性がないのだから、性犯罪の下地を作ることはなく、悪影響にはならない。無論、そんな言い分など通るはずがないが、規制対象がゲーム性のある凌辱ゲームなので、Equality Nowのロジックは崩壊し、そんな言い分が通じてしまう。(といっても美少女ゲームのカテゴリーに入るので、ソフト倫理規制の対象物にはなる)
 したがって、ネット界隈でこの問題に納得しない者が多い。それどころか、この規制問題の裏を暴けば、政治パフォーマンスと指摘されてもおかしくないところだ。

 また、この性暴力ゲーム問題をマスメディアは児童ポルノに絡めたがっている。マスメディアは児童ポルノに絡めて、美少女ゲーム=児童ポルノゲームという誤解を与えている。
 マスメディアは児童ポルノという魔法の言葉によって、この問題をおかしな方向へと推移させている。マスメディアは児童ポルノという魔法の言葉を巧みに使い、この規制はあたりまえという流れになっている。
 その流れに乗って、国会では児童ポルノの創作物にまで規制をかけようとしている。国際基準に並ぶためにも、この法整備は必要だと考える政治家は多い。アニメなどのサブカルチャー文化の発祥地でもある日本における児童ポルノの創作物の規制は、hentaiと誤解されている日本のイメージを払拭でき、国際的にも大きな評価を得ることになり、まさしく一石二鳥である。
 加えて、児童ポルノの創作物は一般人にとってはあまり関心のないことであり、規制されてもさほど問題ではない。それどころか、ヲタクというイメージからそれを愛好している者を生理的に受け付けない人が多いので、ヲタクの嫌悪感を利用し、それは当然という人は多い頃だろう。
 それに、美少女ゲームの規制を抗議したところで児童ポルノゲーム愛好家としてのレッテルが貼られているので、社会的地位を失ってまで立ち上がる人間はあまりいないだろう。規制はあたりまえという流れとなっているのが現状なのだ。


 美少女ゲームが大衆化したその代償として、美少女ゲームは児童ポルノの創作物の代表となった。
 そして、児童ポルノの創作物、凌辱ゲームが性犯罪の下地となり、凌辱ゲームの規制は現実の女性や子供達を守るための盾になると人権団体は主張し、政治家はその声を取り入れ、法整備に着手し始めた。
posted by 宋江 at 01:27 | game | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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