泣きゲーの開拓「ONE 〜輝く季節へ〜」

泣きゲーの開拓「ONE 〜輝く季節へ〜」

 Leafのビジュアルノベルシリーズによって、美少女ゲームは読むゲームという新たな開拓を見出した。ゲーム性が失われる可能性がある中、読むゲームは恋愛アドベンチャーゲームとして進化を遂げ、一つのジャンルが生まれた。

 ・ Keyのルーツ「ONE 〜輝く季節へ〜」

 BaseSonの「恋姫†無双」シリーズでおなじみの株式会社ネクストン。その会社の一つのブランドであったTactics。
 Tacticsは1998年6月26日Windows用ソフト「ONE 〜輝く季節へ〜」を発売し、泣きゲーという新たなジャンルを生み出した。

 ビジュアルノベルで読むゲームをしていたプレイヤー達が、次に注目したのはこの恋愛アドベンチャゲーム「ONE 〜輝く季節へ〜」。このゲームに嵌ったプレイヤーはその涙腺を崩壊させた。後に泣きゲーと呼ばれるジャンルを開拓し、定番のスタイルを生み出した。

 Tacticsは前作、鬼畜サイコ涙腺弛まし系ADVの「MOON.」のスタッフで新しいゲームを作ることになった。「ToHeart」のヒットによって、それに似たゲームを製作することとなり、「ONE 〜輝く季節へ〜」が生まれた。
 このソフトは、現Keyのスタッフが製作している。企画・脚本が麻枝准、原画が樋上いたる、音楽が折戸伸治というメンバーであった。そのことから「ONE 〜輝く季節へ〜」もKeyの作品として数えられている。
 Leafの文章で読ませるビジュアルノベルシリーズに対して、Keyは立ち絵を効果的にスクリプト(編集)することで余計な文章を省き、プレイヤーに主人公の心情を伝えている。従来の紙芝居型であるが、Keyの場合、文章が短く、余計な情報がないために、その物語の世界観とキャラクターの個性がすぐ理解できる。前置きが短く、敷居が低いので、簡単にそのストーリーに没頭できるのだ。

 この頃からKeyの不思議な世界観を構築するカギである「永遠の世界」というのがある。CLANNADのいうところの幻想世界みたいなもうひとつの世界である。
 記憶が消えてしまう「永遠の世界」についての定義は曖昧だが、この曖昧さ加減はある種、エヴァンゲリオンの謎みたいな曖昧さでもあり、プレイヤーを引きつけた要素でもある。なお、「永遠の世界」についての定義がシナリオライターごとに様々な解釈があり、この用語自体、確立されていない。

「ONE 〜輝く季節へ〜」は後にOVA化し、一般向けと成人向けの二つが発売している。ここでも、「永遠の世界」の定義は分かれている。
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美少女ゲームの変移、ビジュアルノベルの確立

美少女ゲームの変移、ビジュアルノベルの確立

 ○ 美少女ゲームの歴史、ビジュアルノベルの確立

 ・ 1996年までの萌え文化

 コナミの「ときめきメモリアル」やコンシュマー化されたelfの「同級生」シリーズなどが、家庭用ゲーム機のソフトとして普及し、恋愛ゲーム、いわゆるギャルゲーと呼ばれるジャンルが出てきた。
 また、「新世紀エヴァンゲリオン」のヒットから多角的なメディアミックスをするようになり、マスコミもまたアニメに注目するようになった。コスプレもここから急激に発展するようになった。

 そんな中、日陰者の文化である、アダルトゲームにも変化が出てきた。アダルトゲームを作る背景はコンシュマーに比べて倫理規定が低いため、色んな表現をすることができ、家庭用ゲーム機で高いライセンスと開発費を払うよりも、もっと安く作ることのできるパソコンゲームの方がコスト費のかからないのが理由であった。勿論、エッチなものを作りたいというのも理由の一つである。

 ・ 1996年のアダルトゲーム、ゲーム性のあるアダルトゲーム

 美少女ゲームの元となるアダルトゲームは1980年代からあり、大手ゲーム会社が開発したこともある。簡単なゲームとおまけ程度のエッチシーンで構成されていた。
 しかし、時代が90年代ごろになると、アダルトゲームにも当時のPCゲームのクオリティに近いゲーム性と、ストーリー性のあるシナリオがつき、アダルトゲームはファンタジーのある大人向けのゲームとして進化した。

 1996年当時、OSのWindows95が普及したことで、画像や音楽の技術向上し、記録媒体がフロッピーディスクからCD-ROMへと変化した。この頃のアダルトゲームはゲーム性のあるゲームが中心であった。

 「同級生」「ドラゴンナイト」シリーズなどを生み出したelfが1996年12月26日PC-98シリーズでSFアドベンチャーゲーム「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」が発売した。
 YU-NOは「DESIRE」「EVEシリーズ」を手がけた剣乃ゆきひろが企画・脚本・ゲームデザイン・総合プロデュースを務めたSFアドベンチャーゲーム。このゲームはアドベンチャーゲームの傑作であり、アドベンチャーゲームのゲーム性を熟した作品といっても過言ではない。
 並行世界をテーマにした作品は多いが、このゲームではその並行世界をマッピング(時間と行動によって分岐するため、枝葉みたいに分かれている)として表現し、そのマッピングにある宝玉(並行世界を行き来できるセーブ・ロードポイントみたいなもの)を回収するのが目的となる。このマッピングはアドベンチャーゲームの基礎となるチャートでもあり、ゲームクリエイターの間では、このYU-NOを参考にする人は多い。なお、セガサターンでコンシューマー化され、25万本超えており、YU-NOが与えた影響は大きいものだといえる。

 一方、「闘神都市II」や「DALK」などで有名なアダルトソフトメーカーアリスソフトは、1996年12月19日にランスシリーズの外伝、シュミレーションゲームの「鬼畜王ランス」を発売した。PC-98からWindows 95へとシフトする中、アリスソフトはどのメーカーよりも先駆けて、Windows 95専用ソフトとして発売した。
 アリスソフトのヒット作である「大悪司」「大番長」「戦国ランス」の元となる地域制圧型シミュレーションの一作目で、リーザスの王となったランスがパートナーのシィルを奪還するために好き勝手に暴れるゲームである。
 このゲームはこれまでRPGだったランスシリーズの外伝的な作品であり、ランスシリーズの正史とは関係ない。しかし、ランスになって好き勝手なことができる自由性と中毒性が高く、フリーソフト化した今でも人気が劣らない作品である。

 他にも、「Piaキャロットへようこそ!!」など、この頃からアダルトゲームは駄菓子のおまけのようなエッチでなく、大人でも楽しめるシナリオとゲーム性のあるゲームが売りであった。

 しかし、ある会社がアダルトゲームのインフラを変えることとなる。その会社は「ToHeart2」でおなじみのLeafである。

 ・ 「雫」がもたらしたビジュアルノベルの基礎

 「ToHeart2」や「こみっくパーティー」で有名のLeaf。Leafが成功をおさめるきっかけになったのはビジュアルノベルシリーズである。その第一弾として発売されたのが、1996年1月26日、PC-9800 MS-DOSで発売した「雫」である。

 当時、見せるのが主流であったアダルトゲームで、読ませるという新機軸を見出したビジュアルノベル。
 イベントCGの上に文字が流れるスーパーファミコンの「弟切草」や「かまいたちの夜」のようなシステムで、臨場感のあるBGMと効果音を耳にしながら、プレイヤーはオカルトに満ちた学園の秘密を知る。
 アダルトゲームならではの狂ったシナリオが売りで、また、すぐにHシーン(狂気に満ちたバッドエンド)にたどり着くことで有名である。ビジュアルノベルでありながらもゲーム性があるのはこのバッドエンドにあるといえる。プレイヤーはこのバッドエンドを迎えずに、学園の裏側を見ることができるのかいう緊張感をもたらすことができた。

 ・ 第二作「痕」
 
 1996年7月26日、PC-9800 MS-DOS専用ソフトとして、「痕」が発売された。前作の狂気シナリオの「雫」とは対照的に、「痕」は、柏木四姉妹宅で過ごす主人公柏木耕一が殺人事件に巻き込まれてしまうサスペンスストーリーである。
 「雫」とは違い、「痕」は日常シーンが多く、登場するキャラクターの個性が際立った。2009年には二度目のリニューアルが予定されているソフトでもある。

 ・ 「ToHeart」、アダルトゲームを大衆化した作品

 これまで「雫」や「痕」などダークな作品を作ってきたLeafであったが、ライトな雰囲気のある作品で多くの顧客を取り込むように製作されたのが1997年5月23日にWindows95・98用ソフトとして発売された「ToHeart」である。
 一癖も二癖もある美少女との充実した学園生活が描かれ、あらゆるキャラクター属性を網羅している。幼馴染、ロボっ娘、女友達、委員長、寡黙なお嬢様、外国人、体育会系、不思議少女、完璧超人などなど、一風変わった女のコたちとの交流をメインにしたビジュアルノベルである。

 「ToHeart」がもたらした影響は大きく、PSソフトとして発売されて、2回もアニメ化した。

 この作品によって、大人が楽しむアダルトゲームから若者でも楽しめる美少女ゲームとしての大衆化する流れとなっていく。当時のパソコン雑誌、「Techwin」や「LOGIN」など、一般人でもパソコン雑誌を手に取れば、美少女ゲームの情報を知ることができた。しかしそれは美少女キャラクターの記号化やゲーム性を損失したことのあらわれでもあった。
 だが、ゲーム性がなくても、CG、シナリオと音楽があれば、アダルトソフトメーカーとして進出することができるようになったことを暗示する。その結果、多くのアダルトソフトメーカーがこの手法を取り入れて、無数のメーカーがアダルトゲーム市場へと参入することとなった。

 ・ アリスソフトのビジュアルノベル「アトラク=ナクア」

 アリスソフトはLeafがビジュアルノベルに開拓をしたのを見て、アリスソフトも実験的な意味合いで、1997年12月18日Windows用ソフト「アリスの館4・5・6」の中にある一つの作品として「アトラク=ナクア」を世に出した。これまでアリスソフトのアドベンチャーゲームといえば、「AmbivalenZ -二律背反-」「DiaboLiQuE」であったが、「アトラク=ナクア」は読ませることにこだわった作品だといえる。

 主人公、比良坂初音は女郎蜘蛛であり、宿敵である銀との戦いから傷を癒すために、女生徒として学園に侵入する。あやかしの力で人の心を入り、人の精気や肉体を喰らっていく。

 「雫」や「痕」に似た伝奇シナリオ。エンディングまで一本道であり、ゲーム性にこだわるアリスとしては珍しいノベルアドベンチャーであるが、濃密なシナリオと耽美な音楽が話題となった。

 ゲーム性にこだわるアリスソフトがこのソフトを出したことで、ゲーム性を失ったアダルトゲームに対するテーゼだという考えを持つ者も少なくない。
 なお、アリスソフトが打ち出したビジュアルノベルはこれが最初で最後であり、この作品以降、ビジュアルノベルを出すアダルトソフトメーカーはなくなった。(ただし、「月姫」や「ひぐらしになく頃に」など同人メーカーがビジュアルノベルを出すようにはなった)

 だが、ビジュアルノベルは読ませる恋愛アドベンチャーゲームへと進化し、ゲームよりもストーリーを特化した美少女ゲームが発売するようになった。(美少女ゲームの定義は曖昧だが、ここでは美少女が出てくるアダルトゲームとギャルゲーを一つにまとめたジャンルとして取り扱うことにする)
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ビジュアルアーツとKey

ビジュアルアーツとKey

 名作「AIR」「Kanon」「CLANNAD」を世にだし、2007年には「リトルバスターズ!」を生み出したKey。個性的な絵と不思議な世界観を紡ぐシナリオと音楽に魅了され、Keyの作品を支持する人は多い。
 しかし、「リトルバスターズ!」が追加要素を増やした「リトルバスターズ! エクスタシー」として、18禁の美少女ゲームで再販売したことで、ネット界隈で驚きの声が上がった。コンシュマー化する前に、なぜ、18禁ソフトとして発売したのか? 色々な疑問の声が上がった。

 元々、Keyが所属するビジュアルアーツは、ビジュアルアーツが開発したゲームエンジンをパートナーのブランドに供給し、これを製作した18禁美少女ゲーム、いわゆるエロゲーを販売している。つまり、美少女ゲームの会社であるのだ。
 したがって、Keyは「リトルバスターズ!」が18禁美少女ゲームとして、発売されてもおかしくないわけである。

 ビジュアルアーツが美少女ゲームにこだわるわけはなんだろうか? それについて探っていくと、いろんなことが見えてくる。ビジュアルアーツの機軸であるKeyを基に、美少女ゲームの歴史について紐解いていく。

 美少女ゲームは世間には忌避されているアングラ文化であるが、今日までアニメやゲームに与えた影響はすさまじい。イラスト、シナリオ、音楽などなど美少女ゲームというプラットホームがあったからこそ、今のアニメ・ゲーム文化があると言えるはず。
 加えて、昨今騒がれている美少女ゲームにある社会問題についても切り込んでいく。国際的な問題からしてアングラ文化の規制は当たり前だという声が挙がるが、その規制は本当に効果的なのか? 規制の裏にある背景を追い詰めていくと、とある政治家の汚職と人権団体の思惑が見えてくる。

 アングラ文化の規制は人材育成、広告展開といったプラットホームの損失にもかかわり、日本のアニメ・ゲームの文化の首を締め付ける問題へと変わることでもあり、多くのブランドを所有するビジュアルアーツにとって痛手でもある。

 今、美少女ゲーム業界がおかれている社会問題を知ることで、国際問題における光と闇についても考えていこう。
 
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